泣いた、緋鬼

その名は

チュンチュン、チチチチ…。





「んー…―――」





鳥の囀ずりと、窓から差し込む柔らかな光で、希は目を覚ました。

「あー、だりー。今日は学校いかなくて良いや」

起きて早々希はだらける宣言をすると、布団からでて、顔を洗うために洗面所に入る。

水を出して少し乱雑に顔を洗うと、しばらく放置してあるタオルで顔を拭く。

その際、希は鏡の中の自分と目が合った。




「―――幻夢……」





希は苦しそうにその名を呟いて、鏡に写った自分の顔を撫でる。





「―――未だだ。まだ、復讐は終わっていないさ」






ギリギリと希は歯を食い縛ると、乱暴にタオルをほおりなげた。
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