緑と和嘉乃。正反対で、それなのにどこか似ている2人の人生が交差したのは瞬きほどの、ほんの一瞬だった。
だけど私にはその一瞬が、2人のどんな人生よりも色鮮やかに見えた。死ぬことを決意した彼らが最後に想ったのは、彼らを産んだ母親でもなく、彼らに絡みつく周りの人間でもなく、きっと互いの光溢れる未来なのだろう。
『飛び降りて、一緒に死のっか。』は命が消え行く瞬間を捉えた物語だ。苦しくて、虚しくて、悔しくて。それでも美しく清々しいのは、きっと2人が最後に本当の愛を得ることができたから。
2人の未来が愛で溢れるように。今夜はそんなことを祈りながら眠りにつこうと思う。