アラフォー×バツ1×IT社長と週末婚
第4話 もう決めた
「どうだろう。」

折橋さんは、ニコニコしながら私に迫る。

そんな時だ。

「失礼します。」

さっきの女性、内本さんがお茶を持ってやってきた。

「お茶をどうぞ。」

出されたコーヒーカップは、某有名な漆器だった。

こ、こんなの、テレビでしか見た事がない。


「どうぞ。今日はね、美味しい豆が入ったんだ。」

「豆!?」

か、会社で美味しい豆?

もしかして秘書になったら、お客さんが来る度に、裏でコーヒー豆を挽くのでは?

「無理です。」

そんな事、私はした事がない。

「どうして、すぐ答えを出すの。」

「考えても私には、秘書の仕事は無理です。」

「だったら、どんな仕事だったら、できるの?」

「それは……」


静寂がしばらくの間流れた後、折橋さんのカップを置く音が、やけに大きく響いた。

「つむぎさん。いろんな仕事にチャレンジしたいって、言ってなかった?」
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