庇護欲を煽られた社長は、ウブな幼馴染を甘く攻め堕とす
第六章 胸騒ぎの午後


「えっ! なにそれ? ドラマ?」

 ついこの前同じような反応を見た気がすると思いながら、興奮する彩子の前でこくりと頷く。

「普通リアルじゃそんなタイミングよく現れないよ。さすが高宮さんだわ」

 感心したように言って、日替わり定食のアジフライを頬張る彩子。

 確かに私も順を追って話しているうちに、千晃くんはスーパーマンか、はたまたヒーローなのではないかと、当事者なのに本気で思ってしまった。

 昨日の男らしい千晃くんの姿を思い出すと、今でも胸がいっぱいになる。

 それに触れられるのも、傍にいたいのも千晃くんじゃなきゃ嫌なんだと、自覚してしまった。千晃くんだからいつもドキドキしていたんだ。


「まぁこれで遥斗も何も言ってこないでしょ」
「うん、だといいけど」
「あとは結婚式を待つのみだね! あー楽しみだなぁ。高宮さんの知り合いってハイスペックな人多そうだし、絶対いい人見つけるって決めてるんだぁ!」

 張り切る彩子の前で乾いた笑いが零れる。楽しみってそういうことね。まぁ彩子らしいけど。

「俺は行きませんから」

 するとどこからともなくそんな声が聞こえてきて、驚きながら彩子とキョロキョロする。

「あぁ! 椎花のわんこ!」

 そう言った彩子の視線の先を振り返り見てみれば、一人でもくもくと食事をする景山くんの姿が! しかもわんこって!?


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