庇護欲を煽られた社長は、ウブな幼馴染を甘く攻め堕とす
第四章 結婚までのカウントダウン

 その日から1ヶ月間、色んなことがトントン拍子に進んでいった。千晃くんの両親への挨拶、両家の顔合わせ、式場の見学に、入籍の準備と多忙を極めた。
 
 お父さんはあれから順調に回復へと向かい、もすぐ退院できそうだとお兄ちゃんが言っていた。私の結婚式をすごく楽しみにしていて、それを励みにリハビリも頑張っているのだとか。

「椎花、料理のコースはこれでいい?」

 テーブルに並べられたコース料理の写真を、千晃くんが真剣な顔つきで見ている。
 
 今日は散々まわってやっと決めた式場での打ち合わせの日。料理に引き出物、決めるものがたくさんありすぎて楽しいと言うより、大変さのほうが勝っている。

「うん、私もそれが一番好きだな」
「じゃあこれでお願いします。あと引き出物は……」

 てきぱきと決めていく千晃くん。こういうところは本当に頼りになる。式の日取りも決まったし、あとは肝心の……。

「奥様、お衣装合わせの段取りができましたので、お二階へどうぞ」

 衣装担当の人が声を掛けに来てくれて、わかりましたと言って立ち上がる。

 そう、今日は初めての衣装合わせ。前回来たとき好きなデザインの物をいくつかチョイスして、今日のために取り置きしてもらっていた。その時ですら散々迷ったから、今日だけで決められるか正直自信がない。

 だけど女にとってウエディングドレスというものは憧れ。気持ちはうきうきと弾んでいる。

「千晃くん、行ってくるね」
「あぁ。俺も後で行く」

 担当者に連れられ二階のフィッティング室へと向かった。

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