Fairy
『 …愛? 』





「 犯罪者しか殺さない殺し屋? 」

『 そう。殺人鬼とか麻薬中毒者とか…渢さんみたいな、闇金とかね。 』




次の日の朝、リビングで晴雷さんと二人で話をしていた。
游鬼さんと狂盛さんは仕事に出かけていて、休みなのは私と晴雷さんだけ。




「 晴雷さん達は…私達Fairyは、違うんですか? 」

『 ちょっと違うね。僕達は、依頼者にちゃんとした理由があれば誰彼構わず始末するから。 』




…そう。一般的に思えば、それが普通だ。

けれどその " 桜翅 心 " という殺し屋は、絶対に一般人や何の罪もない人間のことは殺さないと言う。
一体その人がどんな人なのか、どうしてあの時あの二人の話に出てきたのか。気になるところは沢山あって、聞きたいこともたくさんある。




『 そいつはね、きっと今、渢さんのことを狙ってるんだと思う。恐らく誰かに依頼されたか、それとも自分の意思か。 』

「 ……そう言えばあの時、その人が殺された男に悪知恵を吹き込んだんじゃないかって、渢さんが。 」

『 うん、あいつならするだろう。正義感の強い殺し屋だ、きっと " 闇金を恨んでるなら自分で立ち向かってみろ " とでも言ったんじゃないかな。 』




話を聞く限り、確かにその人は正義感の強い人だ。
きっと弱い者の味方で、いつだってそういう者達を守ってきたんだろう。きっと、そんな殺し屋だ。

それと比べてしまえば、私たちは残酷な殺し屋なのかもしれない。
けれど、殺し屋に正義も残酷も関係ない。




「 晴雷さんは、その桜翅に会ったことがあるんですか? 」

『 会ったことはないよ、顔や名前しか知らない。それはきっと、向こうも同じだと思う。 』
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