その後、私は蓮君にお姫様抱っこしてもらって、マンションに戻った。
そのまま、お風呂場に連行され……。


「い、いいよ、蓮君。このくらい、自分でやるから!」


降ろしてもらえたのは、浴槽の縁。
腰かけた途端、さっきと同じようにふくらはぎを持ち上げられて、私は慌てて声をあげた。
お風呂場に、私の上擦った声が、ぐわんぐわんと反響する。


「ダ~メ」


蓮君はまったく取り合ってくれずに、私の足にシャワーノズルを向けた。


「ここ出てからあの公園まで裸足で行って、無傷とは思えないからね」


水勢を抑えたお湯をサーッとかけられ、私は思わずぎゅっと片目を瞑った。


「沁みるとこ、ある?」


床に片膝を突いた体勢から、蓮君が上目遣いに私の反応を窺う。


「っ……」


その視線にドキッとして、私はぶんぶんと首を横に振った。


「頑固だな。あ~、ほら。やっぱりここ、小さいけど、切り傷できてるし」


蓮君は溜め息混じりにそう言って、私の右足の裏を親指でグッと押さえた。


「小さい傷でも、侮るなよ。化膿して破傷風にでもなったらどうする」

「蓮君、大袈裟だって」

「なってからじゃ遅い。看護師がそんなんじゃ、シャレにならないだろ」