山積みの仕事と、変化した生活に慣れるのが先決だった。
俺が、高校時代の部活仲間に結婚の報告をしたのは、梅雨が終わり、本格的な夏が到来してからだ。
『お祝いしようや』と言われ、日程の連絡をもらったのは、二週間ほど前のこと――。


仲間の多くが夏季休暇に入った、お盆シーズン。
俺は、指定された午後五時を五分ほど遅れて、新宿の居酒屋に入った。
幹事の蛭間(ひるま)の名を告げると、店員が個室テーブルに案内してくれた。
格子戸を開けた途端――。


「よっ! 倉橋! おめでとさんっ!」


派手にクラッカーこそ鳴らなかったものの、囃し立てる声と拍手に出迎えられた。
中には、すでに十人の男と三人の女が座っていた。
高校時代、俺が所属していたバレー部の仲間だ。


会うのは何年振りだろう。
ほんの一瞬怯んだものの、すぐにあの頃のノリが胸に蘇ってくる。


「遅くなってごめん。サンキュ」


俺は笑って、奥に進んだ。
空いていたのは、テーブルのど真ん中の席。
今日の集まりの趣旨から考えても、俺のために空けておいてくれたであろうことはわかる。


「倉橋君。ビールでいい?」


戸口近くに座っていた、元女子マネの近藤(こんどう)さんが声をかけてくれた。


「うん」


彼女に答えながら席に着くと、早速隣から蛭間が肩に腕をかけてくる。