今から二十年前――。
私の両親は、都内の新興住宅街に、念願の新築一戸建て・マイホームを購入した。
私たちから遅れること一ヵ月。
隣に、倉橋さんご一家が越してきた。
ご両親と一緒に、当時十三歳だった蓮君が、うちに引っ越しの挨拶に来た。
それが、私たちの出会いだ。


『こんにちは、倉橋蓮です。真由ちゃん、よろしく』


母の後ろに隠れて、顔だけ覗かせて窺っていた私に、蓮君が背を屈めて声をかけてくれた。


『仲良くしようね』


優しく差し伸べてくれた手に導かれるように、私も手を預けた。
子供ながらに、蓮君の仕草はジェントルマンだった。
おとぎ話の王子様みたいな、優しい笑顔。


私は多分あの時、人生で初めて、『ときめき』という感覚を知った。
疑いようもなく、あれが私の初恋の瞬間。
握手しているだけなのに、猛烈に照れくさくなって、勢いよく手を引っ込めてしまった私を、うちの両親も蓮君の両親も、『あらあら』と笑っていた。


私と蓮君には七つの年の差があるけど、両親同士は年が近かった。
念願のマイホームで、ほとんど同時に新生活を始めるという縁もあり、自然と家族ぐるみでのお付き合いが始まった。