『何時まででも待ってる』とは言われたけど――。
蓮君のオフィスは自宅だし、帰ったら夜中まで根詰めるほどの仕事が待っているに違いない。
急いで病棟に戻った私は、いまだかつてないほどの集中力で記録を終わらせ、もしかしたら入職以来初めて、ノー残業で退勤した。


職員ロッカー室に飛び込むと、パンツタイプの白いナース服を脱ぎ、ニットとデニムの私服に着替える。
日中の体力仕事のおかげで、上がりのこの時間は、いつもメイクは反崩れの状態。
帰るだけだし、普段はそれほど気にしないけど、今日はすぐに蓮君と会うのだ。
待たせているのはわかってるけど、メイク直しはしっかりしたい。


スプリングコートを腕にかけ、バッグを肩に担いでロッカー室を出る。
この時間は人気のない、外来の化粧室にダッシュした。
鏡の前に立ち、胸の高さの小物置きスペースに化粧ポーチをのせて、身を乗り出して顔を映す。


今日は、この間の深夜勤明けの時ほど酷くはないけど、やっぱり目の下にうっすらと隈ができている。
もともと乾燥肌のため、吹き出物とは無縁なのが、いくらか救い。