想われて・・・オフィスで始まるSecret Lovestory
第6章/潤朱 —urumi shu—



出勤のときは、シックな服装を心がけている。
営業部に在籍中は現場に行くこともあったから、ダークトーンのパンツスーツが基本だった。なるべくきちんと見えるように、社会人にふさわしい装いを、とずっと意識していた。

デザイン部に異動して、佐倉さんと付き合い始めて、わたしのファッションは少しずつ変わってきた。
TPOや清潔感は忘れずに、ときに色やデザインで遊んでみるようになったから。

そんなにしゃかりきにならなくてもいい、スーツでかっちり “武装” しなくてもいいんだと思えるようになった。肩の力がすこし抜けた、そんな変化を自分でも楽しんでいる。

佐倉さんとの交際、そしてデザイン部での仕事と、新しいことの連続で。そんな刺激的な日々の高揚感も相まってか、その朝わたしはピンクのニットを選んだ。
ピンクといってもこっくりとしたベイクドピンクだ。そこにタイトなダークブラウンのスカートを合わせた。

関東ビルのリノベーション案件の受注から一週間ほど。まだ興奮の余韻にひたっている感じだ。
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