切愛願望~極上御曹司の庇護欲からは逃げられない~
9、彼女は特別
食前酒が来てグラスを手に取る彼女。
お酒を今まで飲まなかったのは母親のこともあるのだろう。
だが、社会人になれば、お酒を強要される機会も増える。
自分がどのくらい飲めるのか限界を知っておくべきだ。
それに、お酒を飲めば、リラックス出来る。
だが……彼女はかなりお酒に弱かった。
「玲司さん、美味しいね。私、幸せ〜。えへへ」
俺の腕を掴んで身を寄せる美月。
「美月、酔った?」
その顔を覗き込んで聞くと、彼女は楽しそうに笑った。
「酔ったことないからわかんない。でも、すごく気分がいいよ〜。大好きな玲司さんも一緒だし」
それは、美月が素面なら絶対に言わない言葉。
だが、好きにもいろんな意味がある。
彼女はどう思って口にしたのか。
「へえ、美月は俺のこと好きなんだ?お兄さんみたいに?」
「玲司さんは玲司さん。特別なの」
俺の質問に彼女は据わった目で答えた。
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