切愛願望~極上御曹司の庇護欲からは逃げられない~
10、母からの電話
『俺は、美月のこと好きだよ』
玲司さんのその言葉を聞いても、手放しで喜べなかった。
私は彼に女性として見られていない。
『それは……人間としてとか……妹みたいで……といった意味ですよね?』
自虐的に返せば、彼は私の言葉を否定し、口元に笑みを称えて言った。
それは、胸がキュンとするような極上の笑み。
『そういうのとは違う。特別なんだ』
その笑顔が眩しくてほうっと見惚れていたら、彼が顔を近づけて私にキスをした。
玲司さんは魔法が使えるんじゃないだろうか。
時が止まってしまったように感じる。
それはとても甘い口づけ。
美月が大事だよ……って彼が語りかけているような感じがした。
前に初めてキスされた時は何が起こっているのかもわからなかった。
でも、どう息を吸うのかわからなくなって、息苦しくなったら、玲司さんがキスをやめて、ガクッと身体の力が抜けて……。
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