彼女になれない彼女
終業式
今日は終業式。
平良と会ったらどういう顔すればいいんだろう。

玄関のドアを開けようとしたら、同じタイミングで先に外から開けられた。

「おはよ。」
「・・・!」

ドアを開けてきたのは平良だった。

「よかった、一緒に行こうかと思って。」
「あれ?朝練は?」
「今日はさすがにないから。」

平良はすごく普通だ。

私は、どんな顔して会えばいいのか分からなかった戸惑いと、予想外に一緒に学校まで行ける嬉しさが半々だった。

「朝練ないとこんなにゆっくり出られるんだなー。」
「ああ、うん。」
「でも電車は混みそうだな。」
「そうかも。」

緊張して平良の方を全然見られない。
なのに、なんで平良はこんなにいつも通りなの・・・?

平良にとっては、あのキスはなんでもなかったのかな。

自転車だと駅まではすぐだ。

平良と一緒に改札に向かう。
改札を抜ける。
階段を上って、反対側の2番線ホームに行く。

毎日同じことをやっているけど、今日は隣に平良がいる。
それだけですごく特別だ。

こうやって一緒に学校行ったこと、なかったな。

ホームで並んで待つ。

「今日で学校も終わりだなー。」

平良がまぶしそうに空を見上げて言う。
まだ8時過ぎだけど、すでに真夏の日差しが出始めている。

「そうだね。」

電車が入ってくる。
チラチラとうちの学校の制服も見える。

付き合ってからこうしてみんなに2人でいるところを見られるのは、初めてのような気がする。
それがちょっと緊張もするけど、嬉しいような気もする。

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