あなどれないね、世唯くん。
偶然と、出会い。



「はぁ……」

「なんだよ、ため息なんかついて。
つか、お前ここ最近ずっとため息ついてない?」

「そう……かな」


放課後。

今日も変わらず文化祭に向けて、真尋くんと一緒に看板作りをやっている最中。

もうだいぶ完成に近づいてきていて、文化祭もあと数日と迫っている。


あの日以来、世唯くんとろくに会話を交わさなくなった。

またしても溝が深まるばかり。


ますます世唯くんの考えが読めない。

わたしじゃない誰かを想っているくせに、

そのくせ思わせぶりな態度や言葉をわたしにかけてくるから。


「千景となんかあったのか?」

「っ、なんで」


「んー、なんとなくだけど、お前の機嫌って千景に左右されてるような気がするから」


やっぱり真尋くんはとても鋭い。
どうしてそこまでわかるのか謎でしかない。


「そんなことないよ」

真尋くんに悟られたくないので、自分なりに嘘をつき平然さを装う。

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