キミの嘘
★★★★★★










それから、わたしは一週間入院して退院した。
風邪をこじらせて肺炎になっていた。

体力も弱っていたから、
ちょうど夏休みだし、
元気になるまで療養生活となった。


縁はわたしの不安を一つ一つ、絡まる糸をほぐすかのように、説明してくれた。


河崎さんとは、なんでもないこと。
カフェで河崎先輩と二人きりだと勘違いしたあの日は、実は、バスケ部の交流会で、他にも大勢でいたこと。
たまたま、幹事が縁と河崎先輩だったから、二人で残って精算をしていたこと。

駅で二人で仲よさそうにしていたのも、河崎先輩が縁に、勝手に話しかけたり近づいていたこと。縁も河崎先輩の気持ちに気がついていたから、あの日、きちんと気持ちに応えられないことを伝えていたこと。

あの
雨の日、縁はわたしに気持ちを伝えようとしていたこと。

そして、驚くことに
お父さんとお母さんに縁がわたしとずっと、一緒にいたい、と、話をしていたこと。


お母さんがお見舞いの時、
高校にわたしが進学した時、縁が話をしたのだと教えてくれた。

お母さんは、今はまだ言えないけれど、二人は一緒にいる運命だから。
杏が縁を支えてあげてほしいと、言っていた。

そして、養子縁組を私たちはしていないから、戸籍はきょうだいではないのだと、教えてくれた。

まわりは、きょうだいとしてみるから、しばらくは肩身がせまいかもしれないけれど、大学卒業して、二人で
違う場所で、生活したらいいと、言ってくれた。




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