同窓会〜あの日の恋をもう一度〜
部屋に上がる気力もなく、私はリビングのソファーの上でたくさんの服を着込み、母が持ってきた毛布と布団にくるまって眠った。

今思えば、この時点で既にインフルエンザに感染していたのだろう。
予防接種を受けていたおかげで、症状は発熱だけで済んだけれど、インフルエンザは感染症。
学校も『欠席』ではなく『出席停止』となる。

発熱のせいで微睡みながらも、私の中に疑問が湧く。

聡子が、朝の七時に臨時休校の連絡網を回したと言っていた。
なのに何故、私の所に連絡網が回って来なかったのだろう。

クラスの連絡網は、出席番号順で四班に分かれている。

先生から班の先頭の人に連絡が行き、最後の人が確認で先生に連絡をして終了する。

私は二班で、最後の順番だった。

私の前の人は……。

坂本だ。

フルネームは坂本悠太(さかもとゆうた)、小学校は違う校区だし、同じクラスになったのは今年が初めてだった。

坂本はスポーツ万能で、バスケ部のキャプテンで部長、加えて生徒会長と二足の草鞋を履き、駄目押しでイケメン。
男子にも女子にも先生にも後輩にも、人気や信頼のある天に二物も三物も与えられた男だ。

進学先も、私が本命で受験する県立高校の普通科が年明け早々に推薦で決まっていた。


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