同窓会〜あの日の恋をもう一度〜
ヒーターの稼働する音を横になって聞きながら、私は束の間の眠りのつもりが短時間の深い眠りに落ちていた。

だから気付かなかった。
卒業生代表挨拶が終わった坂本が、私が保健室に行った事を知って、式が終わってすぐに保健室に来ていた事を。

そして私の枕元で何か囁いて、眠っている私の右手にメモを握らせていた事を……。


******


私が目覚めたのは、卒業式が終わってしばらく経ってからの事だった。

保健室に畑山先生が戻って来て、先生が様子見でそっとカーテンを開けた時に目が覚めた。

「気が付いた? 気分はどう?」

先生はそう言って、私に体温計を手渡した。

「多分熱はないと思うけど、一応ここで休んでいたし検温してね」

私は体温計を受け取り、ブラウスのボタンを二つ外し、腋の下にそれを挟む。

保健室の体温計は計測時間が家にある体温計よりも早いので、十数秒でアラームが鳴り驚いた。
こんなに早くてきちんと計測出来るのだろうか。

半信半疑で体温計を取り出すと……。

「やだ、熱があったのね。
内線で山田先生に連絡するからギリギリまで寝てなさい。
鞄や荷物、ここに運んで貰うから。
今日はお母さんが来られてるの?」

< 19 / 119 >

この作品をシェア

pagetop