同窓会〜あの日の恋をもう一度〜
裏を返せば、裏切られて辛い思いをしたくない。

殻に閉じこもった性格を理解してくれている由美は、何かと機会を作って私を外の世界に連れ出そうとしてくれるけど、あの時のトラウマが未だ忘れられなくて、私はいつも拒否をする。

ハガキが届いた日の夜、案の定由美から連絡が来た。

『ハガキ、届いた?
今回の同窓会は港北中学校でやるからね?
今年は卒業して十年の節目の年だから、全員集合。
欠席は許されないよ』

SNSのメッセージツールを使って、由美は私にプレッシャーを与えてくる。

全員集合って言われても、その日体調を崩したりしたらどうなんだと言いたい。

それに二十四歳、二十五歳とお年頃の女子に対して全員集合は酷な事。
仮に妊婦さんがいたらどうなんだとツッコミを入れたいけれど、私は誰とも連絡を取っていないし、今更誰かと繋がろうとも思えない。
特にアイツとは。

メッセージを見て、返事に困っていると、タイミングよく由美から無料通話アプリからの電話がかかってきた。

「……もしもし」

『もしもし、結衣(ゆい)? メッセージ読んだ?
てか、ハガキ届いた?』

私の返事に被せる様に畳み掛ける由美に辟易しながらも、スマホとハガキを持ってベッドに移動する。

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