実家の両親は、実は昔株で一山当てたとかで、都会のマンションをいくつか所有しており家賃収入もそこそこあったので、本当は金銭面で一切困らなかったと言う事を後から知らされた。

何故なら私達に普通の金銭感覚を養わせたかったから、質素な生活を送っていたけれど、私達がそれぞれの学校を卒業したからこの地を離れる気持ちが固まったそうだ。

両親は自営業でパン屋を営んでいたけれど、この地を離れて新しい土地でもパン作りに挑戦したいと言う。

こちらでは世間の目もあり、生活の為と言う事で休む間もなくがむしゃらに働いていたけれど、新しい土地では道楽でパン作りを続けたいらしい。

妹もアレルギーが原因で、人と接する事が苦手だと言う事もあり、資格を取得して在宅で出来る仕事をすると意欲を示している。

家族みんながそれぞれの道を歩んで行くのだ。

寂しいと伝えると、両親は笑ってこう言った。

「高校に入ってからずっとバイトを続けて家にお金を入れてくれた結衣がいたから、こうやってやりたい事がやれるんだよ」

私が両親に渡していたバイト代は、全く手をつける事なく私名義の預金通帳に入金されていた。

それどころか、同じ金額を通帳に入金されており、実質五年間のバイト代がそのまま口座に入金されていた。