中学校の正門から体育館裏の通用口までは、少し距離がある。
中学校の敷地を隔てるブロック塀沿いは吹き溜まりになるのか、路面よりも積雪の量も多い。
そして日陰になる場所だから雪も融けにくい上に、踏み固められる雪がアイスバーン状態になり、非常に滑りやすくなる。

私は足元に気を付けながら、ゆっくりと坂本の後ろに続いた。

広くて逞しい坂本の背中は、もう中学生の頃の面影を感じさせない大人の男性のものだ。
まるで、見知らぬ男の人みたいだ……。
そんな大人になった坂本の後ろ姿に、何故私の胸はこんなにもドキドキするのだろう。

坂本は、私がきちんと着いて来ているか、途中何度も振り返りながら前に進む。
私が途中で帰るとでも思っているのだろうか。
そんなに私は信用がないのだろうか。

振り返って前に私の存在を確認する坂本と視線が合うと、思わず顔が赤くなる。

マフラーを巻いていて良かった。
少しでも顔を隠す事が出来るから。
恥ずかしさのあまり、視線を足元に落として坂本を視界に入れない様に俯いて、坂本の後を追った。

坂本は私の歩幅を考えてか、単に足元が悪いからか、ゆっくり歩いているので見失ったりする事はない。

それに十年前まで三年間通学していた場所なのだ、校内の配置は何となく覚えている。