同窓会〜あの日の恋をもう一度〜
坂本は私にトラウマを植え付けた張本人なのだから、連絡先を教えるなんて考えは毛頭ない。

その経緯を知っている由美が、何故今更坂本を庇う様な発言をするのだろう。

坂本もだけど、坂本と繋がりのある中学校の同級生にだって、仮に連絡先を聞かれたとしても教える事はないだろう。

返事をしない私に向かって由美は溜め息を吐く。

『まあ、とりあえず一月三日が同窓会だからね。
十三時に正門集合だよ。
必ず来てね』

そう言って通話は終わった。
由美に言われて私は渋々カレンダーに予定を書き込んだ。

今日は十二月二十日。

二週間後か……。

私はその日が来るのが嫌で堪らない。

あの時みたいに今回もインフルエンザに感染しないかな。
インフルエンザじゃなくても風邪で高熱でも、お腹をくだして動けなくなってもいい。

とにかくその日を回避する事が出来るなら、この際どんな病気でもいい。
何かしら感染しないかな。

案外そんな時に限って体調はすこぶるいいのだ。

無理矢理予定を組み込まれてからの毎日が憂鬱で、本日、とうとう同窓会当日を迎えた。
< 4 / 119 >

この作品をシェア

pagetop