同窓会〜あの日の恋をもう一度〜
……ちょっと待って。
普通、ハガキで連絡を寄越すなら、出欠確認がいるから往復ハガキで送って来るよね?

これは普通の郵便ハガキだ。

ハガキが届いたその日に由美から連絡があって、強制参加を言い渡された。
それこそ有無を言わせない勢いで、言いくるめられた。

ハガキを郵送して来た意味はあるの?

宛名書きは手書きだ。
差出人も、由美の名前。

でも何か引っかかる。

……これ、由美の文字じゃない。

ハガキを見た違和感の原因は、きっとこれだ。
由美が誰かに私の住所を教えて、それでこれを書いたのだ。

由美は一体誰に教えたの?

私の両親は、私が短大を卒業した年に、長年の夢だった古民家を手に入れてそちらに引っ越した為、実家は売却した。

私は地元の税理事務所に就職が決まって、ワンルームの部屋を借りており、その事は、同級生では由美しか知らない。

私は明日が仕事始めの日だから、新しい実家には年末帰省して元旦の夜、こちらへ戻って来た。

昨日は帰省疲れで昼過ぎまで眠っており、昼から実家から持ち帰った惣菜を食べ、ダラダラと過ごしていた。

そして迎えた今日……。
こんな天気の中、本当に同窓会なんてあるのだろうか。

また、あの時みたいに騙されているのではないだろうか。

私の中で、疑問が不安を呼び込んだ。

それもこれも、二週間前に坂本の名前を聞いたからだろう。

思い出さない様に封印したあの頃の記憶が蘇る。

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