同窓会〜あの日の恋をもう一度〜

まるで蜘蛛の糸の様に

そんな俺の生活は、あの日西田とすれ違った事で少し変わった。

あの頃、西田に対する気持ちをブログに綴っていた。
日記にすると親や妹に見られる可能性がある。
ブログなら、アカウントの存在を俺が口にしなければ誰にも見つかる事はない。

あの頃のブログを改めて読み、自分の気持ちを再確認した。

毎年、港北中の同窓会と言う名の集まりを年に一度開催していたけれど、きちんとした同窓会は実際には行った事はなかった。

いつもなら大概決まったメンバーがSNSでグループを作ってそこから同窓会開催の打ち合わせをするのだが、今回はそのメンバーに俺も加わる事にした。

俺はあの日の後悔を忘れない為に、西田を傷付けたあの場から離れてはいけない気がして、中学校の教師を目指して頑張った。

かなりの倍率の中、一発で難関を突破して無事に中学校の教師になり、偶然にも最初から赴任地が母校であるここに決まった。

中学校の教員は県職員だから、年度替りはいつ別の学校に異動になるか。
自宅近隣の市町村ならまだしも、この地から離れなければならない場所に異動になるかも知れないリスクは常にある。

この日までは、別にそんな事は気にも留めなかったけれど……。
西田がこの街にいると知った以上、ここから離れたくないと初めて思った。

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