起たたない御曹司君の恋人は魔女
8家族になろう


 結沙は自分が着ている上着を、そっとリラに羽織らせた。


「女性は冷えが天敵って、母さんが言っていた。風邪ひいたら、大変だよ」


 リラはグッと唇を噛んだ。


 すると・・・


 ヒラヒラ・・・


 氷のような雪が舞い降りてきた。


「あれ? この雪・・・」


 結沙は雪を掌に受け止めた。


「・・・そっか。・・・この雪は、君が悲しい思いをすると降って来るんだね」

「悲しみなんて・・・もう忘れていますから・・・」


 イディスは上着をそっと、結沙に返した。

「私に優しくはしないで下さい。魔女ですから、私」


 差し出された上着を持つリラの手が、震えている・・・。

 結沙はその手をそっと握った。



「あ・・・」


 また、結沙の股間が反応したのを感じた。


 結沙はリラをじっと見つめた。



 よく見るとリラと似ている。

 髪の色は違うが、顎のラインや鼻の形や口元がそっくりである。


 長い前髪で表情が隠れているが、触れている手の感覚は同じで・・・。



「そっか…やっと分かったよ…」


 結沙はリラの手を引き寄せて、ギュッと抱きしめた。

 
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