哀夢
つらいなぁ…消えちゃいたいなぁ…なんでわたしばっかり……

 そう思いながら街を歩く。宅配便のお兄さんが声をかけてくる。
「おねーちゃん、かわいいね!今度遊ぼう!電話教えて!」
「070-****-****」
「何ちゃん?」
「愁」
「ありがと!俺、仕事中やけ戻るわ!」

 笑顔で見送り、ため息をつく。
 高校を辞めて、男とホテル行って、金もらって……。

 世の中おかしいよね!わたしは高校で勉強もできなくて、欲しかった資格も取れないのに、わたしをいじめてたあいつらは、今日も高校の制服着て青春謳歌してんだから……。

 イライラしながら街を歩く。と、今度は軽そうなおにーちゃん。
「一緒に遊ぼうや!」
「残念だけど、知らない人についていくなって、親に言われてるの。まだ15やけ、ムリなんですよ。」
丁寧にそう言うと、
「そーなんや!大人っぽいね!じゃ、もうちょっと大人になったら遊ぼうね!」
そそくさと立ち去る。

 ………はぁ………

つまんない。
家にも帰りたくないし…でも、これといってすることもない。

 大人の男ってくだらないのね。
 お財布かホテル(寝床)って感じ。
 ちょっと目つぶって演技したら満足みたいだし…。

 たいして可愛くないのに、食事もお酒もくれて…。
 バカみたい……。

と思いながら、そのバカのおかげで生きていられる自分に苦笑する。

 あたし、相沢愁15歳の成長は真《まこと》と会うまで止まっていた…。

 真と暮らし始めてから、いろんなことを教わった気がする。
 作れなかった料理は出来るようになったし、年上の人には敬語を使う、挨拶はきちんとする。洗濯物はシワを伸ばして干す。

 そんな基本的なことを全く知らないまま、真の家に転がり込んで、バイトをしてお金を稼ぐ大変さを知って…。

 蹴られたり、なじられたりもしたけど、ほんとに大切だった。

 今でも時々思い出します。もしも、あなたと結婚していたら、どんな生活を送っていたのか…。

たまには思い出しますか?わたしみたいなクソガキと付き合ってたこと。
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