私だって少女漫画の〇〇になりたいっ!
少女漫画を語らせて下さい!


ーーーーーーー翌日


「…それ、フラグな気がするけど」

「…なんの」

「恋の」

「……え、え〜〜っ! 私が!? ついに!?
モブキャラで恋しちゃう運命に…!?」

まだかまだかと待っていた昼休みになり、昨日あったことを詳細に原田に伝えると、真面目な顔で原田はそう言う。

ついに私にも恋のフラグが…?
今まで世間のカップルの閲覧者として、漫画だと読者としていろんな恋を見てきたけど、これからモブとして実体験の恋をするの……?

叶わない恋…気づかれない恋……
切ない恋…あぁ、なんて儚い……

真壁くんのことはまだ好きになってないから全然実感はわかないけど、そうとあらば物語を思う存分盛り上げようじゃないか…っ!


「てか、昨日騒がれてたのって真壁だったんだな」

「え、原田、真壁くん知ってんの…!?」

「知ってるも何も、ずっとあの子有名人じゃん。 噂も色々あるし…」

え……有名人ってことは…

「……芸能人なの?!」

「…………もう何も言うまい」

「え! なんで…!? 教えてよ! 原田ああああ!!」

「ちょ、汚い!ご飯粒とんでるし…!」

「原田ああああ!!」

原田の名を叫ぶ私の顔は周りから見れば相当なこわさだと思う。
呼ばれた本人はもう慣れっこなので、全くこわがらないのだが。

「…あ、あの子ら今日も仲良くやってるけど、観察しなくていいのか?」

そう言った原田の目線の先には、私が昨日目をつけた自称君さけカップルこと、明智くんと七瀬さんが一緒に仲良く話していた。

あの清楚な美少女の名前は、七瀬琴子さんというらしい。
名前まで淑やかで素敵である。


< 23 / 100 >

この作品をシェア

pagetop