聖女の魔力が使えません!~かわりにおいしい手料理ふるまいます~
ジンジャークッキーの効能
それから数日が経った。
実家との日程調整には時間がかかるらしく、ちょっと待っていろと言われたので、いずみは屋敷内を探索する日々を送っている。

一度紹介されただけでは覚えられなかった使用人のこともだいぶ分かってきた。
ジナの旦那様が、庭師兼従僕のコール。八歳の娘がアメリ。
メイドのスカーレットはジョナスの奥さんであり、調理補佐もするらしい。子供は十歳の男の子のハッセ。ふたりにはもうひとり立ちした十八歳の子供もいるらしいけど、ここには住んでいないらしい。
そして最年長がリドルで、五十六歳だ。リドルはこれで家令を勤めるのは三件目になるらしく、“屋敷”というものに精通していた。いずみが屋敷探索にいそしんでいると、『もとは古い屋敷ですから、いろいろ傷んでいるところも多いでしょう。裏庭に直接出られる回廊は危ないから通らないように』などと苦言を呈したりする。

イズミの一日は、朝、旦那様であるアーレスを見送ることから始まる。
午前中は貴族の暮らしについて家令のリドルに習い、午後は厨房の器具の使い方をジョナスの手伝いをしながら習っている。
< 72 / 196 >

この作品をシェア

pagetop