25年目のI love you~やっぱり一緒に・・・②~
翌日、私は早々に、自宅に戻った。鍵を開け、中に1週間ぶりに入った私は、思わずため息をついた。


覚悟はしていたのだが、そこは戦場のような状態になっていた。キッチン、リビング、洗濯機周り、お風呂場・・・。


私は結婚してから、ほとんど専業主婦だったのだから、家事を一手に担うことに、別段異議はなかったのだけど、それにしても、あまりに夫を甘やかして来たことを、夫の為に後悔した。


多少は夫なりに、なんとかしようとした痕跡は認められたのだが、それはまさに焼け石に水、灯籠の斧としか言えない結末を迎え、ギブアップした夫が結局、実家に退避してしまったのは、様子を見に来た長男からのメールで知ってはいたのだが・・・。


私は苦笑いしながら、まず自宅の復旧作業に取り掛からなくてはならなかった。


ある程度、それに目処がついたところで、今度は夕飯の準備。冷蔵庫に残してあった食材は、当然哀れな最期を遂げており、時間もなかったので、なるべく避けて来た古巣のスーパーに買い出しに走った。


夫だけでなく、今日は次男も帰って来ると連絡があった。私達のことがやっぱり心配なのだろう。3人分の食事を用意しながら、私は久しぶりにみっちり主婦業に勤しんだことに、なにか満足感のようなものを覚えていた。


準備を終えて、2人の帰りを待つ。いつも通りの時間が帰って来た。ようやく少し、息をつく時間が出来て、私が少し感慨にふけっていると、インターフォンが鳴った。次男だ。出迎えると、嬉しそうに顔をほころばせる。


「お帰り。」


「ただいま。って言うか、母さんこそお帰り。」


「うん、ありがとう。」


そんな会話を交わして、次男が2階に着替えに行くのを見送っていると、またインターフォンが鳴る。一瞬、ハッとしたが、すぐに玄関を開ける。


「ただいま。」


そこには、なんとも照れ臭そうな表情の夫が。


「お帰り。」


そんな夫に、私も笑顔を送った。
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