25年目のI love you~やっぱり一緒に・・・②~
その日、私は夕飯の買い物がてら、地元のショッピングモールに来ていた。


食料品売場に行く前に、専門店をぶらついていると


「西野さん?」


と確認するように私を呼ぶ声が。その声を聞いた瞬間、私の足がすくんだ。その声には聞き覚えがあった、でも、そんなはずはない。私は恐る恐るその声の方向を振り向いた。


「!」


次の瞬間、私は息が止まった。そこには、もう2度と私の前に現れて欲しくなかった男の姿があった。


「やっぱりそうだ。いやぁ、久しぶりだなぁ。元気だったか?」


私の困惑と動揺になんて、まるで無頓着に、笑顔で私に話し掛けて来る男。その笑顔に、背筋に寒いものが走った私は思わず2、3歩後ずさりしていた。


「まさか、またここで君に会うなんてなぁ。偶然とは言え、凄いなぁ。」


懐かしそうに、そして当たり前のように話し掛けて来る男。


「今日は買い物?」


「はい・・・。」


ようやく一言だけ返事をした。


「今日は古巣の店に用事があって、その後、懐かしくて、この辺をぶらついてたんだけど、まさか西野さんに会えるとはなぁ。」


「・・・。」


「どう、よかったら、お茶でも飲みながら、久しぶりにちょっと話さないか?」


その言葉を聞いた私は、慌てて頭を振って


「ごめんなさい、急いでるんで。じゃ失礼します。」


と言い残すと、逃げるようにその場を立ち去った。


どのくらい走っただろう。まさか追い掛けて来てないよね、ビクビクしながら振り返ったけど、男の姿はもう見えなかった。


ホッとすると同時に、激しい胸の動悸が。それは久しぶりに走ったからだけではなかった。足が震える。


(なんで、どうして今更私の前に、あの男が・・・なぜ・・・?)


自問しても、答えが出るはずもなかった。
< 6 / 156 >

この作品をシェア

pagetop