25年目のI love you~やっぱり一緒に・・・②~
翌日の土曜日は、午前中はそうでもなかったが、午後になると、渋谷さんが言ってた通り、家族連れやカップルの来店客で賑わって来た。


私と同じくらいの年配のご夫婦が、仲良く服を選んでる姿が目に入ると、正直胸をつかれる思いもしたが、そのうち、そんなおセンチな気持ちを抱いている暇がないくらい忙しくなったのは有難かった。


結局、1ヶ月はないと言われてたはずの残業も、勤務開始4日目にして体験し、この日、店を出たのは、7時を過ぎていた。


夕飯を作る元気もなく、この日は食品売場で値下げになった惣菜を買って帰宅。鍵を返しに行く余裕なんか、とてもなく、次男に託しておいてよかったと思った。


次の日の日曜も大忙し。ただ、日曜は学生アルバイトさんが結構早めに来られるので、残業にはならず。


帰りに今日はしっかり買い物をして帰宅。というのは、また次男が泊まりに来るから。この前、来た時、私の1ヶ月の勤務予定を確認していった次男は、どうやら休みの前日の夜は本気で毎回泊まりに来るつもりらしい。


今まで、そんなことを考えたこともなかったが、ひょっとしたら、この子はマザコンの気があるのかもと、心配になってしまうが、その一方で、やっぱり次男の来訪を嬉しく思ってしまう自分がいる。


夕飯を食べながら、お互いの仕事の話を話したり、家の状況を聞いたりする。


この土日は、2人でいろいろ家事に挑戦したようで、料理らしきこともしたらしい。


「まぁ、なんとか食えるものが出来たから、こうやって、今ここに居られる。」


と笑う次男。夜は私の所に行くと言うと、隆司さんは


「狡いな。まぁ仕方ない、俺は外食する。」


と一人で出掛けて行ったそうだ。家では私の話題はほとんど出ないそうで、前回泊まったあと、元気にやってるみたいだと報告しても、隆司さんは


「そうか、ならよかった。」


と言っただけだったそうだ。寂しいような、でもそれが当たり前のような、複雑な気持ちだった。
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