2人のあなたに愛されて~歪んだ溺愛と密かな溺愛~
怖くなった。


すごく…怖い。


私は…


世界で1番、柊君が…


大好きだったのに…


『…ごめん…今日は帰る…明日仕事終わってから、ちゃんと話したい』


私は、それだけ言って、急いでその場から離れた。


『待って!』


何か聞こえたけど、もう耳に入らなかった。


走って走って…


どこに向かってるのかもわからなかったけど、とにかく無我夢中に走った。


タクシーが見えて、私はそれに飛び乗った。


運転手さんに、行先を伝えて、私は目をつぶった。


絶対、話しかけられないように…


今、何を聞かれても、答えられる余裕なんてない。


泣いて、きっと目が腫れてるだろうけど、そこにも触れられたくなかった…


タクシーの中で、必死に整理しようと頑張ったけど…無理だった…


柊君と過ごした2年間が、あまりにも幸せ過ぎたから…


その2年が…


一瞬にして、崩壊したことに、動揺が隠しきれなかったんだ。


私…


今まで、何してたんだろ…
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