不器用な溺愛 恋の相手はエリート同期 

プロローグ

 人間ひとりやふたり、苦手な人物がいるものだ。松風日菜子(まつかぜひなこ)に
とってのその人が、今、目の前にいる同期の男、南沢拓海(みなみさわたくみ)だ。

 拓海は社内でも目立つ男だった。

 整った顔立ち、屈託のない笑顔。抜群の設計センスに数々の実績。

 自信に溢れるその姿が皆の注目を集め、周囲からも大きく期待されている。

 しかし彼は周りからのプレッシャーもどこ吹く風。着実に仕事をこなし、期待に応
えていき、ますます注目を集めるのだ。

 日菜子は自分とは正反対のそんな彼が苦手だった。そして相手にもそれが伝わるよ
うに、距離をとっていたつもりだ。

 それにもかかわらず、拓海はことあるごとに日菜子を誘ってきた。

「松風、昼飯一緒にいかないか?」

「わたし、お弁当なんだ。ごめんね」

「松風、同期で飲みに行くぞ」

「友達と約束があるの。次は参加するね」

 何かと理由をつけて、断ってきた。

 このやりとりが発生するたびに、拓海を狙う女子社員達の鋭い視線が日菜子に向け
られ、いたたまれない。 

 しかし拓海はそんな日菜子をおもしろがるように、ちょっかいをかける。