妖狐の瞳に恋をした
妖の世界
目を開けると明るい部屋の中にいた。

「ここは・・?」

「気がついたのか・・・?」

私しかいないと思い呟いた言葉に被せるように発せられた声に

一人ではなかったのだと気がついた。

そして、その声はどこかで聞いた声・・・

そうか・・さっきの夢の中で私の名前を呼んでいた声だ・・・。

この人は誰なのだろう・・初めて会うはず・・・

でも・・何故か懐かしい気がする。

そして、何とも言えない心地よさがあった。

「ここは何処なんでしょうか?

 私はどうしてここに居るのでしょうか?」

「お前の最後の記憶は・・・どこまで覚えている・・?」

男の人に聞かれ、記憶を手繰り寄せる

「家に帰る途中で・・翡翠・・狐が、白い狐が道の真ん中にいたんです。

 ・・そして、車が凄いスピードで走ってきていて・・・狐を助けようと」

そこで一旦喋るのをやめた。そして、自分の体を見て首を捻った

「私・・・車にひかれたはずなんです・・・

 体中凄く痛くて・・・死ぬのかと思っていたのに・・・」

記憶を遡ると説明がつかない状況に居心地の悪さを感じる

「あなたは、私がどうしてここにいるのか何か知っていますか?」

「知っている。聞きたいか?」

「・・はい。教えて頂けますか?」
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