real feel

邦都市への出張

──19:45。

「異業種交流会?」

「はい。県内の企業が集まって、普段あまり交流のないさまざまな分野の企業との懇談が目的らしいですけど」

佐伯主任が来て、晩御飯を食べながらの団らん。
もうすっかりうちの家族に溶け込んでいるのが、くすぐったく感じるけど嬉しい。
そこで私は今日聞いたばかりの来週末の出張について、話していた。

「俺も広報に異動してすぐ、行かされたことがある。毎年この時期だもんな。その年は市内での開催だったから準備とか設営とかいろいろあったけど、今年の開催市は?」

「邦都市です」

ピタッと同時に固まったのは、主任とお母さん。
私、何かマズイことを言った?

「だけど、邦都なら2時間もあれば十分だろ。泊まり掛けって」

そう、今回の交流会のための出張は1泊2日の予定。
土曜日に泊まって、日曜日の交流会に参加、帰るのは夜になりそう。
せっかくの週末なのに、仕事だなんて。

「そうか、じゃあ来週末は俺も仕事するかな。今年は俺も忙しくなるだろうし」

そうだよね、主任も教事1課2年目だしもっと忙しくなって当たり前だよね。
私がずっとサポートしていきたかったのにな……。

仕事上での繋がりはあまりなくなってしまっても、私たちはこうして一緒にいることができる。
心はいつも繋がっているはずなんだから。
仕事以外でも主任のために何かできるはず。

「まひろ、今日の肉じゃが俺好みだった。ごちそうさま」

「あ、ありがとうございます。喜んでもらえて良かった!じゃ私ちゃっちゃと片付けますから、コーヒーでも。信、ほらコーヒー淹れなさいよ」

「へいへい姉貴。なんなら俺が片づ……」

言いかけて何故かお母さんとアイコンタクト?珍しい……。

「いいのよいつもやってもらってばかりだし。私がやった方が早いんだから!」


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