real feel
いつものように、下まで送って行く。
今日は「ついて来ないでよ!」と念を押してきたけど、怪しい。
後ろを気にしていると主任が私の手を引いた。

「ちょっと、いいか?」

真っ直ぐに駐車場の方へ行き、主任の車に乗せられた。

「え、何処に行くんですか?」

「ちょっとだけドライブ、付き合って」

確かに、マンションでは誰が来るか分からないし。
よく今まで人に見られずに済んでたよなって思ったりもする。
私も本当は2人きりになれたらいいなって思っていたから、短い時間のドライブでも嬉しい。

前にもドライブの帰りに連れて来てもらった事のあるこの場所は、近場にしては住宅街から離れててけっこう静かなところ。
主任のお気に入りの場所なんだって言ってた。



「昼は悪かったな。突然呼び出しちまって」

エマージェンシー・コールのことね。

「いいえ。でも高柳さんはまだ主任のことを……?」

「それはないだろ。あいつにはちゃんと男がいるからな。まあ、俺が営業を離れてからはどうなってるのか知らねえけど。……関係ないし、興味もない」

高柳さんとの関係はあくまでも『過去』だと言っていた。
私との今が主任にとって確かな『現在(いま)』なんだよね。

「今の俺はまひろしか見てないし、他の女と関わりたいとは思わない。仕事では仕方ないけど、必要以上の関わりを持つつもりはない。……はっきり言っておく。俺はお前との『未来』を見据えているから」

私との……『未来』!

「さっき、母とそんな話をしてたんですか」

「あ、いやまあ、まだほのめかした程度だけど。時期が来たら……。それまで待っててくれるか?」

「な、なんだか、それって……」

プロポーズされているみたい!

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