real feel
「ええ。うちも急遽参加を決めたもので、ちょっと出遅れた感がありましたから、必死でしたよ。シャイニングさんにまで辿り着けず焦りましたけど、午後は少し落ち着いたようですよね。よかったらゆっくり話しませんか?」

佐伯主任には結局何も知らせる事ができなかったけど、いいよね。
帰ってから知らせないといけないって思うけど、私から連絡していいのかな?

ええい、今それを考えても仕方ない。
目の前にいる佐伯さんと、話をするのが今の私のやるべき事。

「はい。私もお話したいと思っていましたので、よろしくお願いします」

2人掛けのテーブルで向かい合って座った。
弟さん主任と似てるかな。
あんまり似ていないような気がする……。

「蘭さん、教事1課で兄と仕事してたそうですけど、兄とはその……ただの上司と部下だったんですか?」

「それは、どういう意味でしょうか」

「その……兄は多分知らないと思いますが、龍崎の兄からちょっと情報が入りまして。兄と付き合っているんですよね?違いますか、蘭さん」

「龍崎……貴浩部長のことですよね。お兄さん?情報って一体何の話ですか」

「もしかして、知らなかったんですか。貴浩兄さんは、僕たちの兄なんですよ。腹違いなんで母親は違いますが同じ父親の息子、なんです」

「えっ……。知りませんでした……」

そんな大事なこと、主任はどうして私に教えてくれなかったんだろう?

「そうですか。貴浩兄さんが偶然……いや、正確には奥さんの方が見たって言ってたかな」

見たって、一体何を?
えっ待って、奥さんって?

「あの、貴浩部長って結婚されてるんですか?」

「ああ、それも知らないんですね。兄さんも人が悪いな……。ここまで話してしまったんだ、もう言ってしまっていいですよね」

佐伯さんもちょっと戸惑いを見せたけど、仕方ないという感じで口を開いた。


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