【今治発地域ドラマ】恋を始めてもいいですか
第3話
そしてゴールデンウィークが明けた。

アタシたちは、職場と家庭の往復の暮らしに戻った。

ところ変わって、衣干にある印刷会社の事務所にて…

事務の制服姿のアタシは、伝票処理やパソコン入力などのお仕事をしていた。

潤一さんと挙式披露宴を挙げて、そのまま結婚生活を送るか…

それとも、おじふうふの言うことを聞いて達郎さんとお見合いをして結婚生活を送るべきか…

アタシは、ものすごく苦しい思いにかられた。

昼休みのことであった。

ところ変わって、東村の旧国道沿いにある大型ショッピングセンター内にあるオムライス屋にて…

アタシは、あきのりと会って日替わり定食を頼んでランチを摂った。

ランチを摂った後、食後のコーヒーをのみながらお話をした。

「はるか、お前このごろ元気がないぞ…どうしたんぞ。」

あきのりは、ひと息入れて潤一さんとうまく行っているかと言うた。

「あれからどうなっているのだ?挙式披露宴の準備は進んでいるのか?」

あきのりの問いに対して、アタシはこう答えた。

「アタシね…困っているの。」
「困っている?」
「うん。」
「どしたんで(どうしたの)?…まさか、潤一さんに…」
「いなげな(変な)こと言わないでよ!!」

アタシは、思わずあきのりに声を荒げた。

「潤一さんのことなんかじゃないわよ!!」
「ほやったら(だったら)?問題と言うのはなんぞぉ~?」
「アタシのおじのことよ!!」
「おじって、ビーマック(冷熱会社)の専務さんのこと?」
「そうよ!!」
「何でまた?」

アタシは、コーヒーをひとのみしてからあきのりに言うた。

「アタシのおじさんが、…潤一さんと婚約をしていることを知らずに、お見合い話を入れたのよ!!」
「お見合い話を入れた?」
「うん。」
「相手は?」
「営業一課の課長さん…41歳で、今も独身よ。」
「お前のおじさんとのつながりは?」
「お見合い相手の人が入社した時のおじさんの部下の人よ!!」

あきのりは、のみかけのコーヒーをひとのみしてからアタシに言うた。

「そうか…それで、はるかはどうしたいのだ?」
「断ったわよ!!」
「断った。」
「当たり前でしょ!!だけどおじさんはこう言うわよ!!『結婚は恋愛と違う!!』と…おじさんはアタシと潤一さんが結婚することが気に入らないのよ!!」

あきのりにこう言ったアタシは、タンブラーに入っているミネラルウォーターを一気にのみほした。

ところ変わって、乃万(のま)の冷熱会社にて…

達郎さんは、コンビニで買った幕の内弁当でランチをとろうとしていた。

その時、アタシのおじが達郎さんに声をかけた。

「熊代くん。」
「専務。」

アタシのおじは、注文した仕出し弁当を差し出した。

「こっちの弁当にしなさい。」
「こっちにしなさいって…」
「こっちのお弁当の方が栄養バランスが整っているんだよ…残さずに食べなさい。」

アタシのおじは、仕出し弁当のケースを置いたあと『お弁当は、1食ごとに毎月のお給料から天引きするから…』と達郎さんに伝えた。

アタシのおじは、達郎さんが幸せな結婚ができるようにと思って、あれこれ口やかましく言うようになった。

夕方5時頃のことであった。

仕事が終わったアタシは、タイムカードを押して会社を出ようとした。

その時、アタシは会社の人から『今日はまっすぐ家に帰りなさい。』と言われた。

アタシは、会社の人の言うとおりにまっすぐ家に帰ることにした。

ところ変わって、アタシが暮らしている家にて…

「ただいま。」
「お帰りなさい。」

帰宅したアタシに、母は『ちょうどよかったわ…ごはんできているわよ。』とやさしい声で言うた。

アタシがダイニングへ入った時であった。

うちの食卓に、達郎さんがいた。

どうして…

何でまた、達郎さんがうちにいるのよ…

アタシはお見合いは断ったのに…

アタシは、生ぬるい声で母に言うた。

「お母さん。」
「なあに?」
「なんでうちの食卓に達郎さんがいるのよぉ~」
「ああ、達郎さんのことね…おじさんから達郎さんのごはんの世話を頼まれたのよ。」

達郎さんのごはんの世話を頼まれたってぇ~…

そんなん、聞いていないわよ…

食卓に座っていたアタシの父は、やさしい声で言うた。

「ああ、義兄(にい)さんは達郎さんのからだを心配して、ごはんの世話してくれと言うたのだよ。」
「そうよ…これから達郎さんはうちでごはんを食べることにしたから…はるかも一緒に食べましょう…」

母は、カドにやさしい声で達郎さんに言うた。

「達郎さん、お腹がすいたでしょ…今日はイモのにっ転がしよ。」
「そうしようか…ああ、達郎さん、ビールついであげようか。」

アタシの父は、達郎さんに冷えたビールをついだ。

「かあさん、達郎さんにごはんと味噌汁をついであげて。」
「あっ、はい。」

アタシの母は、達郎さんにごはんと味噌汁をついだ。

達郎さんは、アタシたち家族の前ではニコニコしているけど、心の中では『めんどくさいんだよ!!』とぼやいている。
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