【完】俺様彼氏は、甘く噛みつく。

のめり込む恋と疑心暗鬼

あたしの頭の中は駆くんでいっぱいだ。



それも、想えば想うほど苦しいの。



お風呂上り、自分の部屋のベッドに横になってすぐスマホが鳴った。



――音羽結太郎



その文字をみて、ついため息が出た。

駆くんじゃなかった、って。



駆くんは、今家庭教師のバイト中なんだから、メッセージが来るわけないのにがっかりしてる自分がいるんだもん。



こんなこと思ってしまって音羽くんに申し訳ない。



だって“今日ため息すごかったけど大丈夫?”ってこんな親切なメッセージをくれたのに。




「……あ」



そういえば、音羽くんが前に言ってたな。



駆くんの噂がどうのって。




春先に駆くんと同じ中学出身の金髪の男子に告白された時も……あたしは何か言われた。



そうだ。



『駆はやめとけ。いつか絶対痛い目にあう』



そういうことを言われた。



思わず体を起こした。



どくどくと心臓が鳴っている。



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