エリート御曹司と愛され束縛同居
5.宣戦布告
遥さんと恋人になり、半月ほどが過ぎた。

十月下旬に入り、朝晩は冷え込む日が少しずつ増えてきている。


私たちの同居はとても順調だ。

職場が同じなので毎日顔を合わせて話ができているのはとても幸運だと思う。遥さんは多忙なため、職場も住む場所も違っていたらなかなか連絡もとれず、すれ違うのではとふと不安になってしまうのは前回の恋愛の傷跡だろうか。

元恋人への未練はまったくないのに傷だけを残してしまうなんてどれだけ無器用なのだろう。

けれどもそんな私を見透かしたかのように、忙しい時間の合間を縫って遥さんは時間を捻出してくれている。

朝食を一緒にとったり、できるだけ早く帰宅してくれたり、共に過ごす時間をとても大切にしてくれているのをひしひしと感じている。

今度の休日には少し早いかもしれないけれど紅葉を見に行こうかと計画してくれている。

こんな温かな関係になるなんて予想もしていなかった。

出会った頃は同じ空間で過ごす時間にさえ緊張して敬遠していたのに、今はとても心地よい。

なにをするでもなく、ただ一緒にリビングのソファに座ってお茶を飲んだり、雑誌を読むなどお互いが違う動作をしていても傍にいるだけで心がとても落ち着く。

無理に話をしなくても沈黙を苦痛に感じたりしない。

慣れすぎてときめかないというわけではない。傍にいて声を聞いて、大きな手に触れられるだけで心拍数は否応なく上がっていく。

日に日に恋心は膨らんで際限がない。そんな時間の流れや感じ方を今までの恋愛では経験しておらず、すべてが新鮮で戸惑いも大きい。

まるで初恋に右往左往している少女のようだ。

だからいらぬ心配や不安を抱えてしまうのだろうか。
< 124 / 199 >

この作品をシェア

pagetop