エリート御曹司と愛され束縛同居
2.波乱の幕開け
今日一日で、状況がガラリと変わってしまった。

目の前に広がる夜景が揺らいで見える。


そもそも、なんでこうなってしまったんだろう。


全ては梅雨入りしてしばらく経った二カ月ほど前、父のあのひと言から始まったのだ。


 * * *


仕事を終え、帰路につく。

会社の最寄り駅である新宿駅までは徒歩十五分ほどだ。ここから自宅がある最寄り駅までは電車を乗り継いで一時間以上はかかる。

父方の祖父が建てた一戸建てに両親と共に暮らしている。

兄は同い年の奥さんである瑠香(るか)さんと二歳になる息子の(あきら)くんと実家近くのマンションに住んでいる。

帰りの電車はいつものごとく混雑していて、私を含め乗客のほとんどは濡れた傘を手にしている。

人に当たらないようにお気に入りの赤いストライプ柄の傘を自身の身体に引き寄せる。

車窓からは雨に濡れそぼった街並みが見えた。

雨粒が容赦なく窓ガラスを叩いている。

こんな時、電車を何本も乗り継ぐ必要もない場所に住んでいたら楽だろうな、とつくづく思う。

その瞬間、好条件を満たす場所に住んでいる同い年の幼馴染みの姿が脳裏に浮かんだ。
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