【放浪恋愛】まりなの日記
生い立ち
アタシ・まりなは、昭和48年に東京に生まれましたが、両親の仕事の都合でアタシが生まれた翌日に大阪布施(東大阪市)にある母の実家に移りました。

両親の職業は、父は親方日の丸のパイロットで、母は一流総合商社のエリートでありました。

その当時、母の実家にはひとつ屋根の下にアタシの祖父母とおじ夫婦3組と子供たち16人とアタシの両親とアタシの27人家族が暮らしていました。

両親が共稼ぎで育児ができなかったので、アタシは祖父母に育てられました。

アタシが1歳の時に、両親に連れられて泉北高速鉄道の光明池(こうみょうがいけ)駅の近くにある団地に引っ越しをしてから小学校1年生頃までは大阪で暮らしていました。

アタシがいつも家に帰ってきた時にはひとりぼっちの時ばかりだったので、家族の愛情に恵まれていませんでした。

晩ごはんは、母が『お母さんね忙しいから…』とアタシに言うて、アルミ容器のキンレイの鍋焼きうどんばかりを差し出していました。

そう言うことばかりが続いていたので、アタシは家族そろってごはんを食べた記憶がありませんでした。

アタシが小学校2年生の時に母の転勤で一家は再び東京に戻りました

アタシが小学校2年生の終わり頃に、羽田沖で航空機の着水事故が発生しました。

その時アタシは、学校で授業を受けていました。

授業中に航空機が不気味な煙を上げて羽田沖へ向かって行く音を聞いたので、クラスのみんながおどろいて音が聞こえた方へかけて行きました。

その時に、アタシは航空機の着水事故を目撃しました。

事故から2時間後におばがアタシの元にやって来て『まりなちゃん、お父さんが事故のあとわれさきに逃げたそうよ…もうすぐ危なくなるから今のうちに帰る支度をしなさい!!』とイライラした口調でアタシに言いました。

アタシは、おばの言う通りに帰る支度をして学校を出ました。

着水事故を起こした父は、ケーサツ沙汰になってしまいました。

父は、精神鑑定で事故当時頭がサクラン状態におちいっていたので不起訴になりましたが、パイロットをクビになってしまいました。

母も、会社から父が着水事故を起こした責任を負う形で得意先の文房具屋さんへ出向を命ぜられてしまいました。

安定した収入を失った両親は、アタシを連れて都落ちをして、遠い島へ逃げ込んだのと同時にアタシも、転校を余儀なくされました。

この時父は『よく考えてみたらパイロットには向いていなかった…親方日の丸をなくしても、元気な体さえあればどこでも雇ってくれる…元気な体が働く資格だと言うことに気がついたよ…』と言いまして、島の水産加工会社に再就職をしました。

父は、最初のうちは張り切ってがんばっていましたが、数ヶ月たった頃に『オレは一体、何をやっているのだ……こんなはずではなかった…』とつぶやいて、やる気をなくしてしまいました。

それから父は、出勤と欠勤を繰り返すようになってしまいました。

母との大ゲンカも、毎日のように起こっていたので、家族関係に深い溝ができてしまいました。

そして、アタシが小学校を卒業した時に両親が他界しました。

ひとりぼっちになってしまったアタシは、中山(伊予市)にいる親戚の家に転がり込むことになりました。

アタシは、中山の中学校に入学しましたが入学式の時にもめ事を起こしてしまったので、たった4日で学校に行けなくなってしまいました。

同時に、中山の親戚の家にも居づらくなったので、アタシは松山の第三(特別支援学校)の中等部に転校をしました。

高校は、どうにか松山の私立の女子高に行かせていただきましたが、資格も特技もないまま卒業をしました。

卒業後、アタシは福山で暮らしている大学生のカレと同棲生活を始めていました。

しかし、2ヶ月目にカレからのDVの被害を受けてあえなく破綻しました。

同棲生活が破綻したあと、アタシは再び四国へ帰りました。

その後、アタシは高校時代の友人からの紹介で志度(さぬき市)にある鋼板製造工場に就職をしましたが、雇用保険の期間が終了したのを機に、各地を放浪していました。

工場をやめたアタシは、香川県や徳島県や関西の各地を転々として生活していました。

伊丹のリノリューム工場に再就職をした時に、二番目のカレと知り合いまして、再び同棲生活をしていました。

しかし、カレのギャンブル癖がひどかったことなどが原因で、同棲生活は破綻してしまいました。

アタシは、36か37の時に鳴門で結婚をして、ダンナとダンナの母親の3人で同居していました。

しかし、深刻な嫁姑間の対立が原因で結婚生活は破綻しました。

二度目の今治の時も、深刻な嫁姑間の対立が原因で結婚生活が破綻しました。

三度目の由宇(山口県)の時は男ばかりのきょうだいの家の末っ子のダンナの次兄さん夫婦がアタシがバイトをしていた岩国のフジグランをやめさせたことに腹を立ててドカバキの大ゲンカになったこととダンナが合コンで知り合った女性をダンナが傷つけた事件が原因で女性の父親とドカバキの大ゲンカをしたあげくに、ダンナの父親と次兄さんにも暴力をふるってしまったので、結婚生活は破綻しました。

四度目の奈良の時は、ダンナの連れ子の深刻な問題でダンナともめて結婚生活が破綻しましたし、五度目の福岡の時にはダンナのオドシに屈して再婚したけど、そこでももめ事を起こして結婚生活が破綻したので、アタシは結婚することには向かない女でありました。

そんなアタシは、48の時に医師から乳ガンを宣告されましたが、アタシは治療を拒否しまして残りの人生を過ごしたあと、生涯を閉じました。

白い雪におおわれた四国カルストの雪原で眠っている間に、アタシはひとりぼっちで亡くなりました。
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