【放浪恋愛】まりなの日記

【あの日1⃣~羽田沖航空機着水事故の前夜】

昭和57年2月16日・晴れ

明日は学校の参観日の前の夜のことであった…

両親は、学校の参観日があるごとにひどい大ゲンカばかりを繰り返していたけど、この日はいつもと違って、両親の怒鳴り方が過激になっていた…

この日、父は夜の11時57分頃に帰宅をした…

母は、ひとりでイライラしながら父が帰ってくるのを待っていた…

その時に父が『ああ、疲れたしんどい。』と泣きそうな声で言うたので、母が思い切りキレてしまった…

「あんたね!!こんな夜遅くまでどこへ行っていたのよ!!明日はまりなの学校の参観日なのに、何で遅い時間に帰ってくるのよ!?」
「何だよぉ…オレは今福岡からのフライトを終えて帰ってきたばかりでしんどいのだよぉ…」
「あんたね!!どうしてまりなの学校の行事ごとに逃げてばかりいるのよ!?」
「あのな!!オレはな!!明日の349便と350便のフライトの予定が急に入ってしまったのだよ!!2つの便のパイロットがのういっけつで倒れたから!!オレが替わりにキャプテンを務めろと言われたのだよ!!まりなの学校の参観日だったらお前が行けよ!!」
「あのね!!アタシはね!!明日朝イチに得意先の会社に行って、部下が勝手なことをしたことをあやまりに行かなくちゃいけないのよ!!だからまりなの学校の参観日には行けないのよ!!」

母はこう言った後に、プンとした表情で父に背中を向けてしまった…

父は、その場に座りこんで母に背中を向けていじけた声で言うた…

「何だよ!!何だよぉ…ここの家の家族はオレのことをよってたかってオレを悪者にするのかよぅ…亭主が疲れて帰ってきたのに『お帰りなさい。』と言えないのか!!フザケルな…」

あの時に父がいうていた言葉は、大人になったいまもしっかりと記憶にとどめていることをしるしておく…
< 7 / 221 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop