俺様副社長は愛しの秘書を独占したい
好きって感情
「あぁ、圭太! まだ入れるのは早すぎる。フライパンが温まってからだって言っただろ?」

「ええっ! どうしよう、お兄ちゃん!」

 キッチンのほうから聞こえてくるふたりのアタフタしたやり取りが気になって、『ゆっくりテレビでも見てて』と言われたけれど、気になって仕方がない。

 心配でチラチラと様子を窺っていると圭太君と目が合った。

「大丈夫だよ、瑠璃ちゃん! 僕が今、おいしいオムライスを作るから待っててね」

「こら圭太、目を離すな!」

 自信たっぷりに言う圭太君に、すぐさま突っ込む副社長を見て頬が緩んだ。

 今日は日曜日。私は副社長のご自宅を訪れていた。圭太君が手料理を私に振る舞いたいと言ってくれたからだ。
 それと副社長からはこの前……会食の帰りに迷惑をかけたお詫びに圭太君とともに、もてなしたいと言われて。

 副社長は次の日も熱が下がらず、本人はそれでも出社すると最後まで抵抗していたが、しっかり休んでもらった。

 帰国してからずっと忙しくしていたから、疲れが溜まっていたのかもしれない。その次の日には元気に出社してきた。これまで以上に精力的に仕事をされている。
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