人生の続きを聖女として始めます

レーヴェ

「レ、レーヴェと言うの!?」

私はズイッと身を乗り出し尋ねた。
この子は……あのレーヴェなの!?
マデリンとレグルスの子……私の……。

「はっ、はい!僕、レーヴェ・シナイ・エルナダといいます」

レーヴェは、キリッとした表情を作ると私を真っ直ぐに見た。
こうして間近でよく見ると確かに面影はある。
キリリとしたレグルス譲りの眉に、マデリンに良く似た目元と口元。
そして、決定的だと思ったのは、左目の泣き黒子。
レーヴェには生まれた時からその位置に泣き黒子があった。

「そうですか……会えてとてもうれしいです、レーヴェ」

私は、努めて冷静に言った。
本当は手を伸ばし抱き締めたい。
だけど、そんなことは出来るはずもない。
例えレーヴェだとしても、彼にとって私はさっき会ったばかりの他人だ。
初対面の他人にそんなことをされて嬉しいはずがない。
舞い上がる気持ちを押さえながら、私は笑顔を作り直した。
レーヴェが生きていてちゃんと成長している、そのことがわかっただけで充分嬉しかった。

「はい!僕もとてもうれしいです!だって!だってね……」

レーヴェは隣に座る私の手を取り、小さな手できゅっと包み込んで笑った。
わぁ……うちの子、天使だわっ!
と、親バカを発動していると、レーヴェはまた微笑んで話を続けた。

「ジュリ様は僕のお母様になるんでしょ?」
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