番外編 溺愛旦那様と甘くて危険な新婚生活を
7話「一時の穏やかな時間」





   7話「一時の穏やかな時間」




 「なんだよ。これ…………」


 このメールを送ってきたのが遥斗ではないのはわかっている。あいつはもういないのだ。
 もし生きていてくれて、椋にこのメールを送ったのだとしたらどんなにいい事か。

 だか、こんなメールを遥斗が送らないというのも椋にはわかっている。

 それなのに、何故か動揺してしまうのだ。
 遥斗が死んだ後に、そんな風に思っているのではないか。
 そう考えたことが何度もあったからだ。
 それを文字にされると、やはり胸にグサリとささるものがある。
 あんなにも辛い状態で死んでいったのだ。遥斗が自分を恨んでも仕方がない。そんな風に思ってしまう。



 「………誰かわからないが、いい趣味をしてるな」


 椋は、そのメールをもう1度見てからスマホを閉じた。
 そのメールを削除する事は出来なかった。




< 36 / 152 >

この作品をシェア

pagetop