愛さずにはいられない
突然プロポーズ!?
「蓮水さん、次の衣装ってこっちの配色でいいの?」
カメラマンからの声に雑誌の編集者の蓮水奈央が駆け寄る。
「はい。こっちです。」
「もうすぐヘアメイク始まるからモデルに声かけて。」
「はい。」
奈央は次から次へと慌ただしくスタジオで走り回っていた。

「奈央」
「あっ。今日はよろしくお願いします。」
スタジオに登場した細身で長身の男に奈央が頭を下げる。
「他人行儀はやめろよ。かゆくなるだろ。」
その男は桐ケ谷仁。蓮水奈央の幼なじみだ。有名な美容室の代表取締役の仁は超がつくほどの人気の美容師。自分の店舗をきりもりするかたわら、奈央が携わる雑誌の専属でヘアメイクを担当している。自身もモデルとして活動するほど整った顔の仁。そんな仁が登場すると決まって女性スタッフの表情が変わる。
「ふふっ」
微笑む奈央に仁が頭をかく。
そのしぐさが仁が照れている時だと知っている奈央はもう一度吹き出すように笑った。
「もうすぐモデルさんがくるから用意お願いしますね。」
「了解」
仕事モードになる奈央に仁が微笑んだ。
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