いやいや、でもお兄ちゃんは黒髪だし!メガネだってかけてるし……!どっからどう見てもインテリだもん。

まさか、こんな不良校に通ってるわけ、ない。


きっと、何かの間違いだ。
そう言い聞かせる私の目に、学校の表札が飛び込んできた。


そこには間違いなく"虎鳴学園"の文字。
嘘でしょ……!?


「と、とりあえず、一旦ここから離れよう」



チラチラと通り過ぎていく不良男子たちの視線を感じながら、私は慌ててカバンの中に入れっぱなしだったスマホへと手を伸ばす。

とにかくお兄ちゃんに電話しよう。


高校1年生にもなって、まさか自分が迷子になるなんて思ってもみなかった。

ううん、正確にはちゃんと目的地には辿り着けたけど、心が迷子っていうか……。


あー、落ち着け私.......!
心の中で自分に言い聞かせて、震える手で発信ボタンを押した。


───プルルル.......



早く出てー!と、祈るようにスマホを耳に押し当てて、数回目のコールが響いたとき。



「あっれ、うちの学校に用事?」



───!!!


聞こえてきたのはお兄ちゃんの声……なんかじゃなくて。