フェデリカが生まれ育った神殿を去ったのはヴィーが都へ立ってから、ひと月後のことだった。

「フェデリカ、これからはお父上と暮らすのだ。」

言葉少なに司祭に告げられた後、すぐに出立するように言われ、フェデリカの心が騒ぐ。
ヴィーとのことを司祭に告げるべきかどうか、心が決まらなかった。
神殿の中で未婚の男女が秘密裏に逢瀬を交わしていたことがどのように捉えられるのかが分からなくて怖かった。
子供の頃ならまだしも女性の成人にあたる十六歳を迎えた今は、邪な想像をされても仕方がない。
自分だけならどのような罰を受けようとも耐えられる。
けれどヴィーが不貞を問われるようなことがあっては取り返しがつかないと思った。