消えないで、媚薬。
【過ちの夜】
「お願い、香帆!今回だけでいいから来て!」
「え、ヤダよ」
「保育士ってだけで男はがっついてくるんだもん。彼氏と別れて2ヶ月でしょ?香帆もそろそろ……ね?」
だからって合コンはナシ。
どちらかと言えば苦手。
勝手に人数合わせでセッティングされるのはちょっと……
ずっと断り続けてきたけど今回は親友のさとみがゴリ押しだ。
「行かなきゃ……ダメ?」
「今回はITのイケメン揃いだから期待出来ると思うよ」
「いや、万が一保護者とかに見られたらヤバイし…」
「完全個室の会員制だから大丈夫…!」
大丈夫!って言われても……トホホ。
私、高野 香帆はまだ2年目の新米保育士だ。
いつか担任を持つ日を夢見て日々奮闘中の身。
仕事に没頭するあまり、半年付き合っていた彼氏とも別れた。
ま、いわゆる仕事に専念したいという建前のすれ違いかな。
中学から一緒のさとみとは社会人になってからも付き合いは続いていて、化粧品メーカーに勤めながら毎週のように合コンに明け暮れている。
そろそろ彼氏作らないといけないのはさとみの方だよね…?
無理やり連れて来られた合コンは、私にとってはやっぱり地獄の時間で開始10分でもう帰りたい。
チラチラとさとみにアイコンタクトを送るも余裕で無視してくるじゃん…!
両隣ガッチリガードされちゃって動けないんですけど!?
やっとの思いでトイレに立ち席を外す。
うぅ、このまま帰りたい。
カバン持って来りゃ良かった。
曲がり角に差し掛かった時……
ドン!と誰かとぶつかった。
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